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遠距離交際と近所づきあい 成功する組織ネットワーク戦略

遠距離交際と近所づきあい 成功する組織ネットワーク戦略
西口 敏宏
遠距離交際と近所づきあい 成功する組織ネットワーク戦略
定価: ¥ 2,940
販売価格: ¥ 2,940
人気ランキング: 52502位
おすすめ度:
発売日: 2007-01-25
発売元: NTT出版
発送可能時期: 通常24時間以内に発送

信頼で結ばれたネットワークを評価する試みは多難?
信頼関係で結ばれたスモールワールドと、適度な遠隔のつなぎ直し(リワイヤリング)が組織を成功に導く。経験的、直感的な知見の裏付けを期待して手に取る。

トヨタとケンブリッジと防衛庁の事例がほとんど。特にトヨタが詳しい。複数の初出を再構成した書物らしく、重複している要素も多いので、拾い読みする程度でよいだろう。概説とコラムが豊富なのは良いが、本の厚みの割には科学的なアプローチに乏しい。自身が携わった知見に立脚する姿勢は良しとして、それだけを持って一般解とするには疑問が残る。論文ではないので、ここら辺までで留めているのか。その先が知りたいところ。著者自身もまだ研究途上と認めている節もあり、今後の展開に期待したい。

コラムはさすがに幅広いトピックで、NPMやソーシャル・キャピタルなど関心のあるタームも多く含まれており参考になった。

「私の研究...」「私が実施した...」と日本人には珍しい言い回しを多用しているので来歴を確認してみると、ロンドン大学社会学修士、オックスフォード大学社会学博士、MIT研究員、INSEAD博士後研究員と海外生活が長い。これぐらい自己がハッキリしていないと、海外で勝ち抜いていけないということか。はたまた単なる英文表記のクセなのか。

深さを求めるなら
増田氏の中公新書本が図も多くて、入門書として優れているのは事実だ。でも西口氏の本は、格というか、モノが違う。取り扱う対象が、はるかに幅広く、洞察に富んでおり、深い。しかも、優れた学術書に共通する、妥協を許さない徹底性がある。そのため、安心して頼れる。

初心者が全部を読みこなすのは、決して楽ではないだろう。とはいえ、学術書としては表現がわかりやすく、およそ重要な問題はすべて含まれており、その扱い方もプロフェッショナルだ。また、ネットワーク論における人間の取り扱い方と、その限界、信頼の重要さに関する丁寧で深い考察が、2章をはじめとして、各所に散りばめられている。各コラムも充実しており、読み応えがある。

プロも入門者も、よく読みこんでほしい。それに値する傑作だと思う。よって五つ星 です。


わかりやすさを求めるなら
組織の定義において「システム」を強調するなら、
この本よりもわずか3ヶ月後に上梓されている、
増田直樹(2007)『私たちはどうつながっているのか:
ネットワークの科学を応用する』中公新書、
のほうが図も多いし、わかりやすい。

肝心なのは、増田氏による人間の取り扱い方と、
その限界・意義がていねいに明示されているのに対して、
西口氏によるこの本では必ずしもそうではない、
という点である。

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